アノオト

2014.08.27

ちょっと懐かしい偉大なミュージシャンを語りたい!ボサノヴァの神「ジョアン・ジルベルト」編

140825GetzGilberto

悲しいとき嬉しいとき、いつも心を支え、背中をそっと押してくれた音楽。誰しも、忘れられないそんな1曲があるかもしれません。懐かしい音楽、曲、アーティスト、そして、今の時代にも語り継がれている素晴らしい音楽にスポットを当て、紹介したいと思います。

今回は、涼しげで癒やされる、ブラジル発祥の音楽・ボサノヴァの神様と称される、ジョアン・ジルベルト(Joao Gilberto)について、少し。

初めて、ボサノヴァの音楽、そう、アンドニオ・カルロス・ジョビン作曲、そして、ジョアン・ジルベルトが歌う「Garota de Ipanema(英題:The Girl from Ipanema/邦題:イパネマの娘)」を聴いたときには、なんでこんなに穏やかな音楽があるんだ、と衝撃を受けたものです。

何というか、ギターと歌声というシンプルな音色の中に、やわらかなメロディーとジョアン・ジルベルトの優しい声が際立っていました。もうどこかにふわふわ飛んでいきそうな心地よさ。もちろん、ボサノヴァは、サンバの要素も多分に含まれている楽しい曲もたくさんあるんですけれど。

おそらく、「The Girl from Ipanema(イパネマの娘)」はとても有名なので、耳にしたことがある人も多いかもしれません。多くのミュージシャンにカバーもされています。日本のボサノヴァシンガーである小野リサさんも、もちろん、カバーしており、アルバム『Amigos』やベストアルバムなどで聞くことができます。

さて、ボサノヴァという音楽は、1950年代中頃、ブラジルの伝統的な音楽であるサンバなどを基に、リオデジャネイロの若きミュージシャンたちによって作られた音楽です。ポルトガル語で「Bossa Nova」の「Nova」は「新しい」、「Bossa」は「隆起」という意味を持つことから、「新しい感覚の音楽」というような意味を持ちます。ジョアンは、ボサノヴァの初めての曲といわれる「想いあふれて(Chega de Saudade)」を発表するも、最初は売れませんでした。その後、この曲が若者の間で注目され、ボサノヴァムーブメントが起こっていきました。


Bossa Novaの第1号の曲ともいわれている「Chega de Saudade」

音楽の特徴としては、やはり何といってもギター。ピックなどは使わず、指で弦を弾く奏法が多いと思いますが、これがなんとも心地よい音なんですよね。何度もいいますが、本当に心地よいんです。速弾きをしたり、難しいフレーズを弾くのではなく、ギターがリズムを刻んでゆくのです。このボサノヴァ独特のギター奏法は、叩き合わせる、またミックスするという意味を持つ「バチーダ」と呼ばれており、この奏法もジョアンが発明したといわれています。

世に広まるきっかけとなったのは、1959年のブラジル・フランス合作映画『黒のオルフェ』の劇中で。ボサノヴァの曲がたくさん使われたこと。


夏の終わりに聴きたい「Desafinado」

それから、1962年には、ジョアン・ジルベルトやセルジオ・メンデスなどがカーネギーホールでボサノヴァのコンサートを行い、次の年には、アメリカのジャズサックス奏者のスタン・ゲッツとジョアン・ジルベルトが『ゲッツ・ジルベルト』というアルバムを制作し、これが爆発的にヒット。世界中にボサノヴァが広がっていきました。

ボサノヴァは新しい曲がたくさん生まれる中でも、昔の歌を大切にし、敬意を表して伝えていくようなそんなイメージがあります。消費される音楽というより伝えられる音楽ということかもしれません。

日曜日の昼下がり、木陰で本を読みながら、お茶をしながら、ジョアンたちが作ってくれたこのボサノヴァという音楽に酔いしれたい。

やわらかな風に包まれたい方は、ボサ生活をぜひ。

Photo by claudiolobos

この記事をかいた人: 林美由紀

FMラジオ放送局、IT系での仕事人生活を経て、フリーランスモノ書き。好きなものは、クラゲ、ジュゴン、宇宙、絵本、コドモ、ヘンテコなもの。座右の銘は「明日地球がなくなるかもしれないから、今すぐ食べる」。モノを書く以外にも、イラストレーターと合同でカフェでの作品展示など、形にとらわれない創作活動も。木漏れ日の下で読書と昼寝をする生活と絵本に携わることを夢見て、日々生きています。子はボウズ2人。