アノオト

2014.08.14

プレミアムコンパクトなイヤフォン「X10」、ディスコンからの復刻

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オーディオ機器業界のなかで最も活性化されているカテゴリがイヤフォンです。100円ショップの品から、6ケタなプロダクツまで選り取り見取り。1年ごとのモデルチェンジも当たり前のように行われ、常にブラッシュアップを繰り返しています。

新陳代謝が激しいということは、今まで使ってきたモデルが故障したときに同じモデルへの買い換えが難しいということ。しかし品質を高めたはずの後継機がどうにも耳に合わないとき。ユーザーとしてはどうすればいいのでしょうか。

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once more。その声が多かったのでしょうか。クリプシュは2008年に発売を開始し、2013年に代替わりしたはずのイヤフォン「X10」をアジア圏のみとはいえ再版に踏み切りました。

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繊細なトーンの表現に長けたバランスドアーマチュアドライバーを帯域ごとに複数機用いたマルチWAYが一般的な、現在のイヤフォン市場。しかし「X10」は管楽器を思わせる細身のハウジングに片側1機ずつのシングルドライバー構造。低域が弱い、か細い音がなるのではという先入観を抱きがちですが、実際にはまったくもって過不足ありません。いや、ドライバーと鼓膜の距離が極力短くなるようにセッティングすると、ゴリっとしたドラムもベースも聴こえてくるのですから。

そう、「X10」はそのスマートなエクステリアゆえに、耳の奥まで差し込むことが可能なのです。この差し込み量によって聴こえてくる音は大きく変わります。解像感とレンジの広さを求めるモニタートーンにするなら最奥にセッティング、ラウンジトーンにしたいのならやや浅めに。女性ボーカルを楽しむならいったん最奥まで入れてから、多少引き出すようにするといい…といったように。

イヤーピースによっても音質がガラっと変わります。正直いって使いこなしが難しいモデルですが、自分好みの音になるように追い込むという楽しさもあります。

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基本的にフラットなトーンの持ち主で、音のまとまりも描き分けのバランスもよく、音楽ジャンルを選びません(ゴリゴリの打ち込み系を好むなら後継機種の「X11」がお勧めですが)。復刻するにあたって価格が3万9,800円から1万9,800円となり、購入しやすくなりました。なお復刻前の製品に1万円台前半のプライスをつけているショップもありますが、ニセモノの可能性が非常に高いのでご注意を。

1つだけ、ハイクオリティなイヤフォンが欲しいと願う方にこそ選んでほしいハイエンドモデル。ぜひ一度試聴してみてください。

この記事をかいた人: 武者良太

モノ系情報をお届けしているいちライター。紙媒体ではモノマガジンなど、WEBではギズモードなどで活動中。音楽出版社のヘッドフォンブックにも参加している。