アノオト

2014.08.05

プロデューサーズvol.3:プロデューサーとしての原点になった”後悔”。空想委員会・テディ

昨今増えつつある「レコード会社に所属しない」音楽プロデューサーたち。アノオトでは彼らを「独立系」音楽プロデューサーと呼び、注目しています。この連載では彼らがいかにして音楽と関わり、生み出しているのかを追っていきます。vol.1はアイドルグループ「BiS」のプロデュース、中川翔子や柴咲コウへの楽曲提供でも知られる松隈ケンタさんのインタビューを、vol.2では「独立系」の先駆けとしてサエキけんぞうさんのインタビューをお届けしました。

このvol.3では、6月にキングレコードからメジャーデビューした「空想委員会」の「顧問(マネジメント)」とサポートドラマーを担当し、(株)エルブリード代表取締役、レーベルONE EIGHT RECORDS代表と幅広く活動するテディさんにインタビューを行いました。

4歳からドラムをはじめ、自身でイベントを企画運営していたというテディさんが、どのように空想委員会のプロデューサーになったのか。バンドが人気を獲得するためにはどんなルート作りが必要なのか? テディさんへのインタビューを以下よりご覧ください。

■空想委員会と出会い、初めてプロデューサーになった

もともと僕はプロデューサーになろうというつもりは無かったんです。当時、個人で企画・運営していたイベントに、空想委員会が出演してくれていたんですけど、彼らは活動がとてものんびりしていたんです。ライブも2〜3カ月に一度しかしないようなペースで。ね。でも彼らが「本気でバンドをやっていきたい。プロになりたい」と決意したときに、今後の活動ペースに合わないということで当時のドラマーが脱退してしまって。それまでも僕はいろいろとバンドの相談をされていたので、それならこのタイミングで自分が中に入った方がもっと良いアドバイスができるなと思い、サポートドラムとアドバイザーみたいな形で活動に参加することになったんです。

僕の立場で行っている仕事は、アーティストの「やりたいこと」を引き出し、その段階ではとっちらかっているその「やりたいこと」を、お客さんにできるだけ良いかたちで届けられるようにパッケージングしてあげることです。だからプロデューサーと言ってもいろんなプロデューサーがいると思いますが、僕の場合は音源を1作品プロデュースするというタイプではなく、そのバンドがこれからどう活動していけるか、長期的に付き合っていくタイプのプロデューサーですね。

■自身もミュージシャンだからできる、現場主義なプロデュース

僕には「方法論ありきではなく、『目的』を第一に考えてそこに向かっていきたい」という思いがありまして、知らなくちゃいけないルールのような知識は別として、攻略本というか、ビジネス書を読んだり、誰かのノウハウを知るみたいな勉強は一切していないんです。

バンドと話すときも「こうやればうまくいく」とか「こうすればビジネスになる」ということよりも「こうした方が楽しくなる」ということを考えるようにしています。みんなが「それは楽しい」と一致したところで、あとはそれがどうやれば成り立って、続けていけるのかというのを僕が1人で考える、という流れです。

僕は4歳からドラムを叩いていて、基本的にはミュージシャンなので、バンドの気持ちが分かるというのが強みだと思っています。とはいえ、ミュージシャンとしてのエゴが出てしまいそうなときもありますけどね(笑)。

空想委員会と一緒にやっていくときにまず考えたのは、バンドを知ってもらうためのルートを作ることです。というのも、アマチュアのバンド界というのは、メジャーなバンドとはやり方が真逆なんです。まず音源が先にあって、そこに価値を見出した人が、更にチケットを買ってライブに行くという流れが王道だと思うのですが、アマチュアバンドのライブというのは、アマチュア同士が対バンして、その友だちがお客さんとしてやって来て、もし気に入ったら物販でCDを買うという流れです。これじゃダメだと思ったんです。だから、なるべく王道と同じルートを作ろうと動きました。

まずはAmazonを使いました。音源をいつでも買える状態にしたかったからです。Amazonにした理由はシェアがNo.1だから。多くの人がアカウントを持っていて利用の仕方を知っているし、項数が少ない。これが凄く大事です。聴ける場所を作ろうということでYouTubeを使いました。でもこれだけじゃ買ってもらえません。認知をしていなければ関心も持てないし、関心が無ければ行動も購買も起きません。リスナーとなってくれる可能性がある人に、少しずつ情報を浸透させていく。

徐々にですがYoutubeのアクセス数も増え、AmazonでCDを買ってくれる人も出てきて、そこからライブに来てくれる純粋なリスナーも生まれていきました。メジャーとはスケールこそ違いますが、彼らの使っているルート・リスナーとの距離感と近いものが、こうして初めて作れたんです。

一歩一歩活動を続け、空想委員会はこの春にメジャーデビューすることができましたが、ライトユーザー層へのアピール力がメジャーは段違いだと感じています。扱ってくれる媒体の数が全然違いますし。しかし、浅い情報が広く届くというリスクもあるなと感じました。特に空想委員会は様々な企画を行うのでそこを強調されがちだったりするのですが、本質にあるのは自分達が信じるかっこいい音楽を作って聞いてもらいたい・楽しんでもらいたいという事。企画は、より楽しんでもらうためのプラスアルファだったり、あまりライブに行った事が無い人にも、面白そうだなと感じてもらうためのものなので。そのあたりを、媒体の方からリスナーにしっかりと伝えてもらえるような、誤解のない資料作りも大切だなと感じています。

■プロデューサーとして大切にしたい原点、そして今後の目標

僕にはひとつ大きな後悔があります。これまで出会った中で一番素晴らしいシンガーソングライターが音楽活動をやめてしまうのを目の当たりにして、それに対して何もできなかったという事です。彼のもとには大きな会社からもスカウトが来ていたのですが、その繊細な性格もあって、人間関係をうまく作ることができず、結局デビューすることができなかったんです。そうして経済的なことも含めていろいろな事情があって、音楽をやめてしまった。そのとき僕はまだ自分でイベントを運営し始めたばかりで、ライフワークとして音楽活動をできればいいなと楽観的に思っていたのですが、彼ほどの才能を持った人に対して何も出来ないということに自分の無力さを痛感したんです。それが僕の今の自分の活動の原点かもしれません。
そしてこれからは、僕が関わる人たちにポジティブな影響を与えられるようになりたいと思っています。僕は20歳ごろまではあまり楽しいことが無い人生だったので、生きている意味のようなものへのこだわりが尋常じゃなく強いんです。だから、自分が行動して何か周りの人にポジティブな影響を与えられる事で、自分自身を認められるような感じがします。これはプロデューサーとしてというよりは、僕自身の人生としての目標ですね。

 

▼リリース情報
空想委員会メジャー1stシングル『タイトル未定』/10月8日リリース

【初回限定盤】(CD+DVD)¥1,667+税:[CD] 3曲収録/[DVD] タイトル曲 Music Video + 特典映像
※空想委員会 特製ギター・ピック付き

【通常盤】(CD)¥1,000+税:[CD] 3曲 + ライヴ音源 予定

※収録内容・仕様は変更になる場合があります。

 

▼空想委員会 自主企画ツアー”大歌の改新”
<small>9月26日(金)渋谷CLUB QUATTRO
10月5日(日)高崎club FLEEZ
10月9日(木)名古屋CLUB QUATTRO
10月10日(金)松阪M’AXA
10月17日(金)広島CAVE-BE
10月19日(日)福岡DRUM Be-1
10月21日(火)鹿児島SR HALL
10月22日(水)宮崎SR-BOX
10月23日(木)熊本DRUM B.9 V2
11月8日(土)神戸VARIT.
11月9日(日)京都MUSE
11月12日(水)水戸LIGHT HOUSE
11月14日(金)新潟CLUB RIVERST
11月15日(土)長野LIVE HOUSE J
11月16日(日)金沢AZ
11月20日(木)大阪BIG CAT
11月22日(土)高知X-pt.
11月23日(日)高松MONSTER
11月24日(月祝)松山サロンキティ
11月28日(金)HEAVEN’S ROCK宇都宮 VJ-2
11月29日(土)仙台CLUB JUNK BOX
11月30日(日)秋田Club SWINDLE
12月2日(火)盛岡CLUB CHANGE WAVE
12月5日(金)札幌Sound Lab mole
12月6日(土)札幌BESSIE HALL
12月7日(日)旭川CASINO DRIVE
12月11日(木)長崎DRUM Be-7
12月13日(土)大分DRUM Be-0
12月14日(日)福岡DRUM Be-1
12月16日(火)岡山CRAZYMAMA KINGDOM
12月18日(木)立川BABEL</small>

チケット8月23日(土)より一般発売開始。詳細はこちら

この記事をかいた人: 照沼健太

音楽メディア「AMP」編集長。好きな音楽は、インディーを中心としたリアルタイムなポップ・ミュージック全般と、50年代のロックンロール。1984年生まれ。