アノオト

2014.07.28

ファミコンから30年を経て進化する、ゲーム音楽の未来

かつては、アーケードゲームに付随するピコピコ音だったゲーム音楽。しかしファミコンの登場から既に30年以上が経過し、ハードのスペック進化とともに、ゲーム音楽も進化してきた。

ゲーム音楽の初期をリードする「スーパーマリオ」「ドラクエ」「FF」は読者にとってもなじみが深いだろう。筆者も学生時代は、同級生と共にゲーム音楽の話で盛り上がった記憶がある。音色も初めは無機質な電子音だったはずなのに「ドラクエ3のラーミアの曲は、フルートとハープのアンサンブルを意識しているよね?」という話をすると不思議と伝わった。ファミコンの同時発音数は4音と少ないが、その制限が逆に聴く人の想像力を掻き立てるのだろう。

4音と言ってもそのうち1音はパーカッション等の「リズム隊」であるので、音階が存在するのは3音だけである。だが音楽は時間芸術であり、起承転結がなければ人々を魅了することはできない。リアルな楽器演奏であれば、音量や楽器数を増やすなどして、後半に行くに従い徐々に盛り上げていくのだが、ファミコンに関してはそれができないので、作曲家は意外な裏技を使っているのだ。それは16分音符や6連符などの細かい音符を駆使して盛り上げるという荒技である。

しかし、それをピアノなどの生楽器で弾くには少々無理がある。元々弾きやすさを追求した音楽ではないから、人間の手で弾ける範疇を超えているのだ。そこで音楽スキルが比較的高い人が、弾きやすくアレンジして皆の前で披露するということが学校やピアノの発表会などで度々行われてきた。

2000年代に入ると、管楽器や弦楽器などを使用するオーケストラでゲーム音楽を演奏するサークルが徐々に増えはじめる。例えば「コスモスカイオーケストラ 」という団体は会場が長蛇の列ですぐに席が埋まってしまう程の人気だ。この団体に限らず、演奏するメンバーのほとんどは20代から30代が中心で、かつて彼らが小中学生の頃に慣れ親しんだ80年代後半から90年代のゲームが中心である。それは音楽そのものを味わうと言うよりも、同級生たちとゲームに興じた当時の記憶が音楽を聴くことで蘇り、それが刺激となっているのだろう。

当然ながら楽譜は存在しないから、誰かが耳コピをし、アレンジをして指揮をする。著作権の調整や経理、広報活動を受け持つのスタッフもいて、役割分担が綿密に組まれている点はまるで一つの企業のようだ。僕も以前に「ゼノギアス」というゲームの演奏会でピアノを演奏したことがある。練習は半年間に及び、ハードであったが、ゲーム音楽という共通言語によって皆が集まり、チームで一つの作品を創り上げる良さがある。最近ではYouTubeで素人が自分の演奏をアップするのが容易になってきた。

このようにゲーム音楽は単なるBGM的な存在から、今後は奏者と観客が一体となる参加型へと楽しみ方がシフトしているのかもしれない。上記の団体は、時々メンバーを募集しているので興味があればぜひトライしてみよう。

この記事をかいた人: 羽田 航祐

国立音楽大学作曲学科卒業。6歳の頃からエレクトーンを始め、中高は音楽部に所属し、合唱や和太鼓等を披露した。大学在学中はポピュラー音楽のアレンジを担当する。卒業後はレコード会社での販促活動等を経て、出版社「スカイポートシステム」を設立し、楽譜の企画を行う。後に一橋大学大学院商学研究科経営学修士課程を卒業し、音楽と経営の2つの主軸を持つ編集者を目指し、自らもゲーム音楽等の演奏会に参加している。