アノオト

2014.06.23

音の高さは町によって異なる!? ジョン・パウエル博士が語る興味深い「音楽の秘密」

もしかしたら、楽器を弾ける人にとっては比較的当たり前のことなのかもしれないけれど、絶対音感を持っている、なんて話を聞くと、なんだか羨ましく思ってしまいます。

絶対音感とは、他の音との比較なしに音を聞いただけでその音名がわかること。

簡単にいえば、ピアノなどの音を聞いただけでそれがいとも簡単にドレミに変換することができる能力。たまに、楽器が奏でる音ではなくても、金属の音、生活音などを聞いて、「この音はラだ」などと当ててしまう人もいたりするといいます。

この能力は、一般的には幼い頃から音楽の身近にいることや訓練することで身に着けることができる可能性が高いといわれていますが、では、絶対音感は音楽家になるには必ず必要なのでしょうか。大人になって始めた楽器でプロの演奏家になれる可能性はあるのでしょうか。

そんな疑問に答えてくれるのが、物理と作曲の博士号を持つ、物理博士で音楽家のジョン・パウエル博士。ダイヤモンドオンラインのインタビュー記事によれば…。

■雑音と音楽の違いは何?

ジョン・パウエル博士によると、それを分ける明確な定義があるそうです。

その波が規則的なパターンになっており、かつ1秒間の振動数(周波数)が20ヘルツから20キロヘルツ(20000ヘルツ)の範囲であるかぎり、音符として聞こえる。

一方、圧力波が異なった方向にランダムな間隔で届くと、鼓膜は混乱し、雑音としてとらえる。

同じ音でも、規則的に聞こえるかランダムに聞こえるかによって美しい音楽と雑音の違いになるんですね。

■昔は町によって「音の高さ」が違っていた!?

音って世界中の人々が同じように感じ、認識しているものなのでしょうか。そんな疑問に対しても、博士は答えを提示してくれています。

現在コンサートで使われている標準的な音は、専門的な会合が何度も持たれた後、第二次世界大戦前夜の1939年にロンドンのBBCで開かれた専門家会合で決められたものだ。それ以前は、音の高さは国どころか、町によっても異なっていた。

かつては製造する国によってフルートやクラリネットの長さは微妙に異なっていたため、それぞれに違った音程を出していた。

弦楽器では張り方を変えて調律できますが、管楽器では楽器そのものの長さを統一しないと、音程が統一できないのだそうです。確かに今は「音」の定義があるけれど、昔は生まれ育った場所により、それぞれに違う「ド」の音を感じていたとは驚きです。

■絶対音感は音楽をやるうえで必要か。

さて、冒頭でも触れたように「絶対音感」を持っていれば、音楽をやる時に役立ちそうだと思うのですが、実際はいかがなものでしょうか。まず「絶対音感」を身につけるとしたら、やはり6歳くらいまでに音楽を始めるのがよいとジョン・パウエル博士は語っています。なぜなら、「音の差だけでなく音そのものを覚えてしまうから」。

絶対音感は決定的に重要な音楽スキルではない。むしろミュージシャンが絶対音感を持っていると(柔軟性を失い)不便な場合もある。必要なことは音程の違いが分かることだ。

もちろん「音感がいい」ことは音楽をやるうえで条件になると思いますが、絶対音感を持っている=よいミュージシャンとは限らないということなのですね。

■大人になってからプロの演奏家になれる?

もし、音符が読めない大人が楽器を習い始めたとして、プロの演奏家になれる可能性はあるのでしょうか。それについても、博士のコメントが参考になります。

――大人になってからプロ級の演奏家になることは可能か。

 こう答えよう。いかなる分野でもプロになるには1万時間の訓練が必要だ。7歳のときに始めると18歳のときまでには1万時間を訓練に費やすことができるが、35歳で始めると、1万時間の訓練を受けていたら70歳になってしまう。
(中略)
ただ、30歳から始めて、毎日2時間真剣に練習すれば、45歳くらいまでにコンサートクラスの演奏家になれる可能性はある。むろん、世界のトップ20人に入ることができるという話をしているわけではない。自分の町でモーツァルトのピアノ協奏曲を、入場料を払う聴衆の前で弾くピアニスト程度にはなれるかもしれないということだ。それでも凄いことだが。

訓練を続けることで、大人になってからプロの演奏家を目指すことができる可能性はあるということ。でも、よっぽどでないと、世界中の誰もが知っている演奏家になれる確率はかなり低そうです。

昔は国だけでなく町によっても「音」に違いがあり、人は生まれ育った場所にある「音」をベースにしていたということだったり、雑音と音楽の違いだったり、絶対音感についてなど、「音楽論」といわれると、なかなかとっつきにくい気がしますが、ジョン・パウエル博士の音楽論は音楽の知識がなくても、わかりやすく解説されています。

音楽の歴史を見てみると、楽器製造の過程で世界共通の「音の高さ」を決める必要があったり、作曲家が楽しい音楽を作る時や悲しい音楽を作る時にある特定の音を多く使ったため、その音や旋律にイメージがついていたりもします。それに、オーケストラの曲を作るにはそれぞのれ楽器の特徴などを知っておく必要はありますが、実際にはどんな音から歌いだしてもいいし、キーボードにない音で音楽を作ってもいいとのことが博士のお話から分かりました。

今、私たちが知っている「音楽」には色々な決まり事はありますが、多分、音楽はもっと自由でいいということなんですね!

[Photo by agn01254876
World Voiceプレミアム 第67回/ダイヤモンドオンライン]

この記事をかいた人: 林美由紀

FMラジオ放送局、IT系での仕事人生活を経て、フリーランスモノ書き。好きなものは、クラゲ、ジュゴン、宇宙、絵本、コドモ、ヘンテコなもの。座右の銘は「明日地球がなくなるかもしれないから、今すぐ食べる」。モノを書く以外にも、イラストレーターと合同でカフェでの作品展示など、形にとらわれない創作活動も。木漏れ日の下で読書と昼寝をする生活と絵本に携わることを夢見て、日々生きています。子はボウズ2人。